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【手しごとへの想い】手の仕事と祈りについて

自分でもいろいろ作るけれど、私は他の作家さんが作ったものを見たり身に付けたりするのも大好きです。人の手で生み出されたものは、特有の空気感を纏っていると思いませんか?作った「もの」だけでなく、手仕事をしている時間や空間にも同じ何かが漂っているように思うのです。その空気感の正体は、何なのか。しばらく考えていたときがありました。あたたかさ、丁寧さ、上質感、個性、量感、色々なワードが浮かびましたが、最近になって、「祈り」という言葉がしっくり来るなあと思っています。祈りと言っても、現世利益的なものではなくて、もっと本質的でプリミティブな質感のもの。願望や執着とは無縁の、穏やかで軽く静かなエネルギーです。

手を動かして何かを作るとき、悪いことを考えるのはむずかしい。手を動かせば動かすほど無心になって、瞑想のような状態になることもあります。

私の大人になってからの「手仕事はじめ」は、中国の少数民族「苗族」の刺繍でした。あの教室、あの先生たちとの出会いがなければ、ここまで手仕事に夢中になることもなかったかもしれません。

苗族の刺繍は、伝統的な吉祥文様や思わずクスッと笑ってしまうユーモラスな動物モチーフなど、大らかなものから緻密なものまでさまざまですが、そのどれもに女性たちの祈りを感じるのです。

帰国に伴い、先生たちから教わることは叶わなくなりましたが、十年以上経った今も、彼女たちの笑顔を思い出すと胸があたたかくなります。

手仕事に祈りを感じるのは、彼女たちと過ごした時間に由来するところも大きいと思います。

私にとっての手仕事は、女性としてのたしなみでもなく、お母さんとしての役割でもなく、いろんな外枠をぴょーんと飛び越えたその先に存在しているイメージです。

確かに、子どもたちとの暮らしの中で役に立つことは多いし、必要なものを作れるということは便利でもあります。実生活で役に立つのは確かです。けれども、それ以上の魅力と「ちから」を手仕事に感じているのは、きっと私だけではないはず。実際に、マインドフルネスやセラピーの分野でも注目されているようです。

これから私がお届けしたいのは、心を解き放つ手仕事。お人形のお届けやワークショップなどを通じて、皆さまと手仕事の魅力をシェアして行けたら嬉しく思います。

日々、書いて縫って何かしらつくっています。夢は、面白くて機嫌のいいおばあさんになること。

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